ちのっぷすの読書覚書

『!』と思った文章や琴線に触れた言葉のメモ集

ちのっぷすの今日の本:ナガサキノート

被爆者の生の声

前回の帰省時に、父から原稿用紙20数枚にも及ぶ被爆体験記を手渡されました。

88歳

今のうちに被爆者の証言を遺しておきたいと思ったのでしょう。

wordに入力し直し、小冊子にするよう仰せつかったのです。

父の被爆談は、2008年か2009年の朝日新聞長崎版に数日に分けて載ったことがあります。随分後になって、父がそのコピーを送ってくれました。

でもそれが文庫に収められていることは、今回初めて知りました。

父の体験記の裏付けを取るために出向いた図書館で、原爆関係の資料を検索していたら、ヒットしたのです。もちろんすぐに借りました。

それが《ナガサキノート》ー若手記者による聞き書きの形をとった、31名の被爆者体験談集です。

ナガサキノート 若手記者が聞く被爆者の物語 (朝日文庫)

ナガサキノート 若手記者が聞く被爆者の物語 (朝日文庫)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2009/07/07
  • メディア: 文庫

駆け出しの若手記者とはいえ、プロの手によるものですから、筆力はそれなりで、読み応えのあるものになっています。

のページは「白い落下傘」というタイトルになっていました。うまくつけたものだと思います。

数日にわたるインタビューの中から要点を抽出し、臨場感溢れる文章、今回手渡された父の体験記(「作文」ですね)と前半部分は内容的にほぼ同じです。

ナガサキノート2も出ているのですが、なぜか絶版(?)になっているようで、アマゾンでは中古本しか入手できません。しかも5000円近い高額。

体験者の写真も載っていたそうなので、本人は承諾しても、のちに遺族が難色を示したのかもしれませんね。

美輪明宏さんの体験談もおさめられているそうで、読んでみたい気はします。

祈り ナガサキノート2 (朝日文庫)

祈り ナガサキノート2 (朝日文庫)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2010/07/07
  • メディア: 文庫