ちのっぷすの読書覚書

『!』と思った文章や琴線に触れた言葉のメモ集

番外編②

長崎殺人事件

前回に引き続き、母のリクエスト本の中から。

もちろん、タイトルに惹かれて購入し、母に送る前に一応読んでみました。

アマゾンでの評価は高いようですが、う~~ん、まず長崎弁が全然デタラメなので、それだけで萎えちゃったかなぁ。

こういう本を映画やドラマ化する場合、脚本家さんって頭痛いだろうなぁ。

ただ、やっぱり長崎の地名や店舗名は懐かしく、それだけで最後まで読み通せた感はあります。

店舗名といっても一文字変えてあるのですが、長崎県人ならまずわかります。

カステラ

堂→文堂、福屋→福屋、松軒→松

と変えてあり、左側の方が老舗の実店舗名で長崎3大カステラ業者です。

これに最近は和泉屋も有名どころとして加わっています。

浜の町に店舗を構えていますし、雲仙には見学できるカステラ工場もありました。

この松翁軒ならぬ松風軒の娘と

江崎べっ甲店ならぬ江口べっ甲店の店主婦人が、主人公の探偵浅見光彦と絡む重要な役回り。

二人とも美女の設定で、なぜかこの二人だけ、長崎弁は一切使わず標準語。

浅見と喋るときはともかく、家族やこの二人同士の会話の時もそうなので、やはりかなり違和感あります。垢ぬけた感じを出したかったのでしょうか?

それにしても長崎生まれの長崎育ちの娘が標準語はないでしょう。娘の通う大学《K学院》が、お嬢様学校で知られる《活水》のことだとしても。

高校野球の話題が少しだけ出て、そこは《海星》と実名が出たのに(実際、以前は高校野球の長崎代表と言えばほぼ海星でした。ヤクルトのサッシーも海星出身だったはず)活水はK学院とぼかしてある。

またポルトガル村とあるのはオランダ村、これも重要なキーワード。

昭和57年の長崎大水害のことにも触れてあり、これも同じくキーワード。

ストーリーはいまひとつ脈絡がないというか、私の頭が悪いせいもあるのでしょうが、話がどう転ぶのか、全然予想がつきませんでした。

著者曰く「グラバー邸で殺人事件が起こる」ということのみ設定していて、あとは「プロットも考えずに書き始めた」そうで、いわば筆の赴くまま登場人物に動いてもらった作品ということになっているようです。

いくらなんでもそんなことあるのかな?と凡人は思います。

それはともかく「自身の作品の中で5指に入る」と公言するほどの自信作。

確かに「この先どうなるのかな、この3つの殺人事件はどう収束するのかな?」と結末は気になって最後まで一気に読み通しはしたものの、腑に落ちた感はありません。

同シリーズに《博多殺人事件》もありますが、母に送る為に買うことはあっても私自身が読むことはないでしょう。

著者内田康夫と浅見光彦は友人同士の設定で、内田氏も作家という本人役で登場するというユニークさは目を引くものの、それほど斬新な手法というわけでもなさそう。

もっとも初版は30年程前なので(私が長崎を出て数年後)当時は目新しかったのかもしれませんね。

母がなぜ推理小説が好きなのか、私には・・・サッパリわかりません。

前回と言い今回と言い、けなしまくったみたいで、西村京太郎や内田康夫、推理小説全般のファンの方からのお叱りは覚悟でアップします。

ひねくれものでへそまがりであまのじゃくな私をどうぞお許しくださいませ。