ちのっぷすの読書覚書

『!』と思った文章や琴線に触れた言葉のメモ集

ぐりとぐら

山脇百合子さんの絵本

朝刊で、絵本作家・山脇百合子さんの訃報を知りました。

お姉さんの中川李枝子さんとの共作絵本「ぐりとぐら」の挿絵を描かれた方です。

こどものとも傑作集だったのですね。福音館の《こどものとも》は娘たちの幼稚園で毎月定期購入していました。

文章を書かれた中川李枝子さんは、たしか元保母さんではなかったかしら?

子ども目線で、子どもの気持ちに寄り添った絵本を多く手掛けた方です。

そしてこの時はまだ山脇百合子さんはおおむらゆりこさんとなっています。

初版本は1963年だそうですから、《こどものとも》って随分昔から出版されていたのですね。

私自身は幼稚園の頃、こういう絵本を読んでもらったり、買ってもらった記憶はありません。

たまたま仏教系の幼稚園でしたから【福音館書店】とは縁がなかったのかもしれませんが、何か薄い冊子のような絵本は持って帰っていたような気もしますし、園の本棚に絵本が並んでいた記憶はあります。

「ぐりとぐら」は、娘たちが小さい頃、伊万里図書館から借りて読みましたが、長崎生まれのわたしにとって「カステラ」といえば四角のイメージ。

(あ、でもそういえば、母がその昔、新製品の無水鍋(?)を使って直径30センチ位の丸いカステラを焼いたことがありました。そんな感じでしょうか)

それでも

「さあ、できたころだぞ」

ぐらが おなべの ふたを とると、

まあ! きいろい かすてらが、

ふんわりと かおを だしました。

「やあ、おいしそう!」

みんなは めを まるくして、かんしんしました。

のページでは、あまぁ~いニオイまで漂ってきそうで、幸せな気分に浸れました。

李枝子さんとの共作は「ぐりとぐらシリーズ」だけでなく、沢山あり、その殆どは読み聞かせたんではないかなぁ。

その中でもミニブック「なぞなぞえほん」はお気に入りでした。

まだ娘の部屋にあるけれど、もうボロボロでポツポツとカビらしきものも・・・。

山脇さんの絵は、素人っぽさの残る優しい、温かみのあるタッチでふ~んわり、ほのぼの。

お姉さんとの共作ももちろん良いけれど、私が一番番好きな絵本は、大好きな作家であるあまんきみこさんとの共作「ひみつのひきだしあけた?」です。

このまえの もくようび

おしいれの すみっこから さくらいろの

けいとだまが ころりと でてきた。

そこで チイばあちゃん、すてきな 

ベレーぼうを あもうと おもったよ

ではじまる、読み聞かせにピッタリのリズム感のある文体。

ワクワクしながら読み進めました。

かいがらに かせき。 うごかない とけい。

きれいな こいし。 ちよがみ。 ほうそうし。

あめの かみ。 チョコレートのあきかん。・・・

小さなもの、カワイイもの、キレイなもの、珍しいもの、役に立つもの、立ちそうにないものも含めて、捨てるに捨てられない雑貨や小物が引き出しの中にびっしり。

こどもごころだけでなく、その昔はこどもだった(あたりまえ)おとなごころもくすぐること請け合い!

そしてこのあまんきみこさんの文章には、山脇百合子さんの素朴な挿絵がもうこれ以上はない!というくらいピッタリとマッチしていて、最高に素敵な絵本に仕上がっています。

娘たちを生んだからこそ、出会えた絵本とその作家さんたち・・・

月並みな言い方ですが、山脇百合子さんのご冥福をお祈りします