ちのっぷすの読書覚書

『!』と思った文章や琴線に触れた言葉のメモ集

脳科学で解く心の病~うつ病・認知症・依存症から芸術と創造性まで

邦訳のタイムラグが少し残念

武雄図書館の新刊本コーナーで借りてきた本。

これはもうタイトルがズバリ直球だったので、絶対に読むべき本だと狂喜乱舞!

延長してじっくり読むつもりでしたが、予約が入っていたため、期限までしか借りられず、慌てて読んで見切り発車でのブログアップです。

ところで、内容とは関係ないですが、タイトルが天地一杯の装丁になっていて、(一番上)と(一番下)の文字が少し切れていますよね?

まさかサイズを間違えたわけではないでしょうから、何らかの意図があるのだと思うのですが、どうなんでしょう?

それから、少し残念なのは、アメリカでの出版(The Disordered Mind)は2018年なのに、邦訳が出たのが2024年で、タイムラグが6年もあること。

科学出版物での6年は、結構大きいと思うのです。

それはそれとして、駆け足で内容に切り込んでいきます。

まず驚いたことがひとつ。

前後は抜きにして、まずその部分だけ取り出してみますね。

 現在ではこのように、精神障害は神経障害と同じように脳の異常が原因で生じる、と明らかになっている。

というくだりです。現在が「6年以上前」だとしても、それにしても「えっ!ってことは、つい最近まで『精神障害は脳の異常とは無関係』と考えられていたわけ?ウソでしょ~~」とビックリ仰天したのです。

私にとっては、もう何十年も前から「精神の病気と言っても、結局は脳の病気でしょう」だったので、自明の理だと思っていたのです。

21世紀の今でさえ『精神科』があるのもずっと不可解でした。

『精神』という実体が存在するわけではないのに、医学的にどう扱うんだ?と。

『精神に作用する薬』だって、結局は脳に作用しているわけで・・・。

脳と心の研究が進むにつれ、神経疾患と精神疾患の間には実際はそれほど大きな違いのないことが次々と明らかになってきている。研究が進めば、さらに多くの類似点が見つかるだろう。精神障害と神経障害が一つに収斂していくことで、新しい科学的ヒューマニズムの創生がもたらされる。そして、ヒトの脳の機能や個人的経験、行動が、いかに遺伝子と環境の相互作用に基づいているのかを解明する機会を与えてくれる。

「新しい科学的ヒューマニズムの創生」ゾクゾクするような響きがありますよね。

訳者の大岩(須田)ゆりさんは「科学医療ジャーナリスト」というだけあって、見事な筆力だと感服しました。

硬質な文体なのに、とても読みやすく分かりやすいのです。

医学監修が須田年生さんとなっていますから、ご夫婦でしょうか?

だとしたら素晴らしい共同作業だと思います。

科学書籍に限らずでしょうが、訳文のこなれ具合によって印象が全然違ってきます。

さて、引用したいところがまだ沢山あるのですが、今日返却しないといけません。

「科学的ヒューマニズム」については特に、私なりに言及したいこともあります。

別の図書館で借りてくるか、購入するかして、続きが書けたら・・・

尻切れトンボですみません・・・