シュリーマンのよう
「ゼロから12カ国語マスターした私の」というキャッチ―な文句に引かれて、借りた本。
遠い昔、トロイの遺跡を発掘したシュリーマンの、子ども向け伝記を繰り返し読んでいた時期がありました。
シュリーマンは外国語を習得するにあたって独自の方法を編み出し、10数ヵ国語を話せるようになったとあり、子ども心に憧れていたのです。
ただ、欧州は陸続きなので、ポルトガル語とスペイン語が似ているように、各言語間に英語と日本語ほどの大きな違いはないだろうから、習得できたんだろうなとも思っていました。
ですが、著者のKazuさんによると、アラビア語は文字からして違うので覚えるのが大変だし、トルコ語は文法的に日本語と似ているところがあるそうです。(ということは印欧語族とはかけ離れているということですよね?)
「はじめに」に書かれていた
誰でも、いつからでも、何語でも、何ヵ国語でも、習得できる。
に、「そうね、若い人より習得は遅くても、できないことはないはずよね」ともう一度スペイン語にトライしてみる気持ちに火がついたのです。
もちろん、英語ももっとレベルアップしたい、と。
Kazuさんは2000年のお生まれですから、娘たちよりずっと若くまだ20代前半。
今を時めく(なんて言い方、古すぎますかね?)インフルエンサーでもあります。
その若さゆえに、習得語数も、それにかかる時間も驚くほどはやかった(5年で12ヵ国語!!)のだとは思いますが、還暦過ぎの私にだって少しは真似できるところがあるかもしれません。
実を言うと、本文中に「引用したい」と思うような箇所はあまりありませんでした。
(アプリやツールなどの紹介は大いに参考になりましたが)
彼が言っていることは至極もっともで、私自身、何十年も前から「分かっていたこと」も多かったのです。
以下p56からの引用ですが、この部分だけわざわざ網掛けの太字で表記されていましたが、それなりに人生生きてきたシニアにとっては「言わずもがな」と感じる箇所ではありました。
外国語学習とは、新たな世界を開く冒険の第一歩です。外国語を学ぶと人生が豊かになる。人生に新たな輝きがもたらされることは間違いありません。
同じく、p64にも
このように「言語」という要素をひとつ補うだけで、仕事や趣味の可能性が広がり、人生の充実度が増すのです。
とありましたが、「はい、仰る通りでございます。(坊や、可愛いね~)」とおばちゃんは思ったのでありました。(ごめんなさいm(__)m)
ですが!「分かっていた」のに「実践していなかった」からこそ、私は私のままで、決してKazuさんのようにはなれなかった(こんまりさんになれなかったように)わけですから、今回は、素直に「実践」あるのみ、これが最後のチャンスかも!と奮い立ったのです。
お勧め教材としてpimsleurが出てきたのにも、驚くと同時に嬉しさもじわり。
(と同時に、その頃諦めずに続けていれば今頃は・・・とチョッピリ後悔も。でも!今からでも遅すぎはしないですよね?!)
20数年前に一度、サンプル版のCDを試聴したことがあったのです。
中南米の遺跡を見たかったので、「スペイン語を話せるようになりたい!」と思い、さらに「英語でスペイン語を学べるなんて一挙両得!」と、飛びついたのでした。
期待に胸を膨らませ、サンプルCDを聴き始めたのですが・・・
英語の説明や指示は簡素なうえ、スペイン語もあまりにも繰り返しが多く、易しすぎて、すぐに辞めてしまったのでした。
もちろん易しすぎたのは第1巻、初歩の初歩だったからで、2巻、3巻・・・最終巻と続ければ、ごく簡単な会話なら聴きとれ、話せるようにもなったのでしょうが、各巻結構高かったので、購入には至りませんでした。
今はオーディブルで、比較的安価に聴けるようですので、もう一度チャレンジしてみようかなと思っているところです。
本文から逸れ過ぎました。戻りますね。
第5章《自己暗示をうまく活用する》には「なるほど!」と思いました。
ネイティブになりきって「フィラー」をいう
「フィラー」とは、例えば「えーっと」とか「あー」、「うー」の類でしょう。
それを英語なら「Well・・・」とか「Um・・・」、スペイン語なら「Este,」「Como,」などのように
ネイティブになりきって「フィラー」を言うと、自分に対して「話せる!」と自己暗示をかけることができる(p222の挿絵より)
とあり、確かに有効な手立てかもしれないと深く頷きました。
p223にも
頭の中で「学習中の言語」と「日本語」の行き来がなるべく起こらないようにすることは、言語習得を早めるうえで非常に有効です。
ほんの1語、2語から成るフィラーなど、取るに足らないと思ったかもしれません。
しかし、それくらい小さな言葉すらもネイティブのように言うことで、「日本語話者としての自分」を静かにさせることができるのです。
最後に《外国語習得の道は「螺旋階段」》にも、なるほど!と膝を打ちました。
p228の小見出しに
終わりがないからこそ、「ほどほど」の精度を上げる
とあり、この本のメソッドを
一段落ごとに完結させながらレベルアップを図る「ステップ・バイ・ステップ」ではなく、すべてを同時に取り組みながら、少しずつ上昇していく「螺旋階段」のような感じ
としています。
母国語ですら知らないことは沢山あるのですから、まして大人になってから学び始めた外国語、完璧を目指すのはそもそもが無謀というもの。
「『ほどほど』の精度を上げる」を胸にしっかり刻んで、毎日少しずつでも語学に触れていきたいと思います。