ちのっぷすの読書覚書

『!』と思った文章や琴線に触れた言葉のメモ集

まだ何になるか わからない

ほんとに木彫り?!

ページをめくるごと、驚きの連続でした。

表紙のカステラの質感!

長崎生まれで、カステラにはちとうるさい私が唸るほど、美味しそうな出来栄え!!

裏表紙は、反対側の木の端に、なんと!金の延べ棒が彫られているのですが、こちらもゴールドの光沢感に圧倒され、思わず触ってみたくなるほどです。(実物、見てみたい!!)

著者のコンノさんは、家具デザイナーから公務員に転職、コロナ禍や鬱病を経て「木彫りアーティスト」として独立されたという異色の経歴の持ち主。

作品はSNS等でアップされているそうですから、そちらで見て頂くこととして、

https://www.instagram.com/kibori_no_konno/

https://x.com/kibori_no_konno

https://kibori-no-konno.jimdofree.com/

本文で「!」と思ったところをどんどん引用させて頂きますね。

扉に

読んでくださった方が

「まだ何になるか分からない」自分を、

不安に思うのではなく、

楽しんで生きていただけるように書いた

僕の物語です。

とあるように、コンノさんと同世代か、より若い世代に向けた本ではあるのですが、コンノさんの親世代の私にも、いろんな意味で、教えられることの多い本でした。

木彫り作品のほとんどが「食べ物」で、それもコンノさんならではのこだわりなのでしょう。

p65

 「おいしいものを、一番おいしい瞬間に味わいたい」というようなこだわりのある家庭で育ったことが、僕が食べ物を観察する視点、食べ物の作品をつくるこだわりにつながったのかなと思います。

p82

 僕の創作は、まず見本となる本物を用意して、じっくり観察することから始まります。

 食べ物の作品をつくるとき、見て観察する前に、僕はまず、その食べ物を食べて観察するんです。食べながら、香り、食感、味、舌触りを、体全体で感じ取ります。

食品サンプルを製作している女性が、「ときめくニッポン職人図鑑」の中で(ブログには取り上げなかったですが)、これと似たようなことを言っておられました。

コンノさんと同じく「食べることが大好き」で、食に対するこだわりが強いとも。

アーティストや職人さんは『観察眼』だけでなく、五感の全てを使って「観察する力」がひときわ、優れているのでしょうね。

p104より

 「やったことがない=不安」というようなネガティブな気持ちを抱えたままでは、なかなか踏み出せずに挑戦をやめてしまうこともあると思うんです。でも「やったことがない=ワクワク」とポジティブにとらえて楽しむことができれば、自分の可能性は一気に広がります。(中略)

 不安な気持ちをいつまでも抱えているのは苦しいので、とりあえずパッとやってみるほうがお得だ、と僕自身は考えるようにしています。

うん、うん、うん、と勇気をもらえますよね。

アーティストと言うと、どちらかというと寡黙で、孤高の人といったイメージがありますが、コンノさんは、人と接することが大好きなのだそうです。ものづくりについても、p124には

そもそも僕は一般的な「アーティスト」のイメージとは少し異なるようで、つくる作品に対して「こんな感情を表現したい」とか、「こんな思いを作品に込めたい」という考えが全くないんです。もともとデザイナーをしていたこともあったからなのか、「自分の考えを表現して伝えたい」というよりも、「見た人が『楽しい』『驚く』作品はどんなものだろう?」とまず第一に見てくれる相手を想像して、その人に贈るプレゼントを考えるような気持ちで作品をつくっているんです。

とあります。

それから、コンノさんの仲良し三兄妹(チームコンノ)を育てられたご両親もまた「こんな親でありたかった!」と思わずにはいられないほどの素敵な方でした。

その部分(p164)も引用しますね。

 僕は今でもよく両親と3人で電話をするんですけど、この前「どうして僕らが子どものときに『あれをやりなさい』とか『これをしちゃだめ』みたいなことを言わなかったの」と聞いてみたんです。すると父は「何が正解で、何が間違いなのかって、常識としての答えはあったとしても、本当にそれが合ってるのかって大人の自分でも分かっているわけじゃないんだよね。だから子どもたちには、それを自分で考えられる力をつけてほしいと思っていたんだよ」と言いました。

 小さいころから、子どもを一人の人間として尊重して育ててくれていたんだと思います。

ご両親だけでなく、奥様のご両親もまた素晴らしい方たちで、安定した公務員を辞め、木彫りアーティストになることを、反対するどころか、応援してくれたそうです。

小学校3年時の担任の先生、木彫りを勧めてくれた友人、元公務員だったというピザ屋のご主人など、コンノさんは人生の要所、要所で会うべき人に出会い、現在のコンノさんになったのですよね。(奥様との出会いについては触れられていなかったのが少し残念)

卓球の経験も、家具デザイナーとして、その後公務員として働いた日々も、無駄なことは何ひとつなかったのだと思います。

 

最後に、福岡在住の方には有益な情報を得たので、それも貼り付けておきますね。

www.fukuokacity-kagakukan.jp