ちのっぷすの読書覚書

『!』と思った文章や琴線に触れた言葉のメモ集

ひとまねこざる 動物園へ行く

おさるのジョージはホントにお猿さん

5Gの話題のあとに何でまた 絵本?ー振れ幅が大きすぎて、自分でもおかしいですが、ちょっとした偶然から、ジョージの生みの親・レイ夫妻のドキュメンタリー映画を観たこともあって、あらためて絵本を読み直してみたのです。

邦訳は「ひとまねこざる」(もしくは「おさるのジョージ」)。

原題はCurious George なので、ジョージはチンパンジーだとばかり思っていました。

が!どうもお猿さんだったようです。ape ではなく monkey となっていますから。

娘たちが幼い頃、伊万里の図書館で借りて読みましたが、自身で持っているのは1985年 Houghton Mifflin Comapy の Curious George visits the zoo. 

Curious George Visits the Zoo

Curious George Visits the Zoo

 

The keeper put the pail down to get a drink at the water fountain.

George was hungry. He grabbed the pail and ran away with it.

"Hey!"shouted the keeper."Stop that monkey!"

But George kept on running.

A crowd of people was standing near the monkey house--just the place for George to hide!

飼育員のことはkeeperでいいのかぁ。get a drink もこんなに簡単な表現でいいんだ。

keep on~ingも自然な表現の中で覚えたら忘れないよね。

the monkey house--just the place for George to hide.ーto不定詞がどうちゃらこうちゃらと言わなくてもこれなら言わんとしているところがスンナリわかりますよね!

英語の授業でもどんどんこういう絵本を読ませたらいいのにな。

お話の締めも秀逸です。

"George should not have taken my pail."said the keeper, "but he did feed the monkeys."

"And now it's time to feed ourselves, George,"said the man.

And that's what they did.

should have pp の形や 強調のdo(did feed)、it's time to~、関係代名詞の what など英文法のエッセンスが学べます。(これはシリーズ全文原著を読まなきゃ!)

なんだか非公開ブログ英語覚書みたくなってしまいました。

 

ところで「ひとまねこざる」「おさるのジョージ」は実は作者が違うのです。

原作である「ひとまねこざる」はユダヤ人夫妻の Hans Augusto ReyMargret Rey の共作で、計7冊のシリーズ本が作成されています。

初版の発行は1941年、日本語訳の初版発行は1954年ですが、原著の第2作目(1947年)が日本版の初版にあたるそう。 ということは僅か7年足らずで出版されたということ、それも戦後10年経たないうちに、です。

原著の発行年日本語版の発行年には順番にも違いがあって、1作目ジョージと黄色い帽子のおじさんが出会ったいきさつ1966年とかなりあとになって出版されています。

1作目で、ジョージは(もちろんまだジョージという名前もありません)はアフリカにやってきた黄色い帽子のおじさんと一緒にアメリカに渡るのです。

(私が「おさるのジョージ」に感じた違和感はここだったのですね。アフリカから勝手に連れてきちゃっていいの?と)

そこから始まっておなじみの数々のエピソードが生まれるのですが、日本の読者には「はじめから黄色い帽子のおじさんと暮らしているジョージ」だったのですね。

 

ハンス亡きあと、その作品を原案に新しく出版されたのが「おさるのジョージ」シリーズ。原題は The curious George "New Adventures" でヴァイパー・インタラクティヴ(C.Becker, D Fakkel, M,Jensen, S.SanGiacomo, C.Witte, C.Yu) や Martha Weston らによる二次創作になるのだそう。

 

ナチスドイツの迫害を逃れ、アメリカに辿り着いて絵本作家として名を成したレイ夫妻のドキュメンタリーについては海外ドラマ雑記帳の方にアップ予定です。