ちのっぷすの読書覚書

『!』と思った文章や琴線に触れた言葉のメモ集

美しすぎる「数」の世界

サブタイトルに惹かれて・・・

五行歌なんてやってるくせに、実は、短歌には殆ど興味がありません。

どころか「なぁんかウソっぽい」と思ってしまうほうです。

例えば中学の国語で習った宮沢賢治の『永訣の朝』や高村高太郎の『レモン哀歌』など。

最愛の人を失ってどうしてその哀しみを詩になんかすることができるんだろう?

感情を言葉に翻訳する冷静な作業ができるのなら、それは本当の哀しみではないのじゃないか、と。天邪鬼的解釈ですね。

でも・・・金子みすゞさんの詩は・・・こころにすぅーっと沁みてくる・・・

う~ん、言葉で表現するのは難しい。ただ、彼女の詩にはリズムがあるので読んでいて目にも耳にもこころにも《心地良い》のです。

って昔から彼女のファンだったような書き方ですが、実は真の出会いはわりと最近です。

やはりきっかけは国語の教科書。ただし自分のではなく娘が小学生の頃(10数年前)の。

「わたしはふしぎでたまらない」から始まる一連の詩。

色々な自然現象の不思議を並べた後、彼女が一番不思議に思っていること、それは・・・

「だれにきいても わらってて あたりまえだ、ということ」

あまりにも感受性が強すぎる人の孤独感、寂寥感が滲んでいて、彼女の生きづらさを思いました。彼女の自死の根っこはこの辺りにあったのかも・・・。

それから「わたしと 小鳥と すずと」はきれいなメロディーの歌にもなっていますね。

一時期、特別支援教育支援員をしていた私にとって「みんなちがって、みんないい」は合言葉のようなものでした。なかなか言葉通りにはいかないことの方が多かったですが。

前置きがなが~くなりましたが、タイトルとサブタイトルに惹かれた理由は・・・・

《大好きな》金子みすゞの詩《嫌いじゃないのに苦手だった》数学コラボした本だったから、です。

これを読んだら苦手の数学、ちょっとは克服できるかも、と。

美しすぎる「数」の世界 「金子みすゞの詩」で語る数論 (ブルーバックス)

美しすぎる「数」の世界 「金子みすゞの詩」で語る数論 (ブルーバックス)

  • 作者:清水 健一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/10/18
  • メディア: 新書
 

数学が、というより始まりは算数ですが、《嫌いじゃないのに苦手》だった理由は、生来のそそっかしさによるものでしょう。

早合点が多い!母から事あるごとに《注意力散漫》を指摘され、強い暗示となって刷り込まれています。(これは大人になった今もなかなか拭えない)

それでも《算数》だったころはまだ平均よりは十分上で「他教科より悪い」程度でしたが、中1の《数学》である決定な《事件》が!

今でもちょっと悔しいのは、もし、あの当時の1年生の教科書が《正・負の数》から始まっていたなら、なんなくクリアでき、ちょっと苦手どころか、もしかしたら得意科目になる可能性だってあったと思うのです。

でもたしか《整数の性質》から始まって、エラトステネスの篩素数以外の数を消していくといった、ゆっくりやれば間違えようのない単純な作業で、ポカをやったんですよねぇ。

中1の初めての中間テスト、数学は54でした。学年平均が53だったので、かろうじて超えてはいましたが、母の落胆と怒りは今でも忘れられません。なぜならほかの科目はすべて90点台後半が多かったからです。つまり数学だけ40点以上悪い!これはまぁ、普通の親でもショックを受けますよねぇ。

ふぅ~。40年以上経った今も忸怩たる思いがあって、これ吐き出しておかないと前に進めない気がして・・・。

で、吐き出した今「さぁ、やり直しの第一歩だ」と勇んで読み始めたのはいいのですが、やっぱり今ひとつピンとこない!

数学者清水健一氏が書いた本なので「~となるのは自明のことですね」みたいな表現が随所にあって「ちょ、ちょっと待って、そこんとこもっと噛み砕いて説明して~~」とついていけず、完読できませんでした。

やっぱり数学向いてないのかなぁ。悲しいぃぃ~。

でも一読の価値はあると思います。こういう本がブルーバックスシリーズから出ているというだけでとっても嬉しい!

またいつか挑戦したいと思います。