1年の締めくくりに
大晦日ですから、壮大なストーリーで締めくくりましょう。
ディビット・クリスチャンの『オリジン・ストーリー(A big story of everything)』
サブタイトルは『138億年全史』
私が子どもだった数十年前、宇宙の始まりは150~200億年前とアバウトだったと記憶していますが、今は『138億年』とそこまで分かっているのですね。
チンパンジーとの共通祖先と分かれたのが700年程前、彼らとDNAレベルでは僅か数パーセントしか違わないのに、ヒトはなぜここまで傑出した特異な存在に成りえたのか?
締めくくり、と書きましたが、実はまだ完読していません。
年越し読書にするつもりです。壮大な物語をたった1日で読了するのはあまりにも勿体ないですもんね。
まずは引用の引用(第1章宇宙 P30 1始まりー臨界1より)
1からアップルパイを作るには、まず宇宙を創り出さねばならない。
カール・セーガン『COSMOS』
全くその通りですよね。宇宙カレンダーの考案者・セーガン博士らしい言葉だと思います。
「アップルパイを作るには?」と聞かれたならば、「材料はこれこれで・・・」と普通はそこから答えるでしょう。
でもアップルパイを作れるほどのヒトを生み出すためには、まず宇宙が生まれていないと話が始まりません。
故カール・セーガンが宇宙カレンダーを作成した時は、宇宙開闢を150億年前としたので、若干の修正は必要ですが、それでもホモ・サピエンスの誕生が12月31日の午後11時50分を回っていたのには変わりなく、アップルパイを焼くヒトの誕生となれば、新年を迎える数秒前位になるのでは?
少し逸れましたが、著者のディビット・クリスチャン氏は科学者ではなく歴史学者。ビッグ・バンから現代までの歴史を一望する「ビッグヒストリー」の提唱者なのだそう。
宇宙開闢を138億年前ではなく、13.8年前と10億分の1に置き換えた年表が本書のP28に載せてあります。一部抜粋して引用しますね。
ビッグバン 私たちの宇宙の始まり 13年10か月前
私たちの太陽と太陽系が形成される 4年6か月前
地球上の最初の生命 3年10か月前
ホミニンの系統がチンパンジ―の系統と分かれる 2.6日前
ホモ・サピエンスの最初の証拠 105分前
都市・国家・農耕文明の最初の証拠 2.6分前
グレート・アクセラレーション 人類が月面に着陸する 1.6秒前
太陽が死ぬ 4年6か月後
年表の最後は
宇宙がしだいに輝きを失い暗闇に没する 今から何十億年も後
で終わっています。
宇宙の終焉については、絶対年代で何億兆年も後、のことだそうですが、この辺りについてはさすがにまだ不確かでしょう。
ですが、太陽が死ぬのは、45億年後のこと、現時点でそこまではほぼ確実にわかっているのですね。
ヒトは自らの死だけでなく、太陽の、いえ宇宙の終焉についてさえ思いを巡らすことのできる動物。
こちらの年表でいうならば、2.6分前に分かれたチンパンジーとの差に、あらためて驚かされます。
これほどの知性と想像力をもったヒトが、いまだ戦争をしていることが、どうにも不思議でなりません。
2020年・・・ヒトは・・・どこまで・・・?